開催概要

手考足思

天草大陶磁器展は今年で16回目の開催になります。16年といえば生まれたての赤ちゃんが高校1年生になるまでの時間。ずいぶん長い時間のように思えますが、あっという間にも感じられます。天草大陶磁器展は天草陶石という世界有数の陶磁器原料を産するこの島を、原料産出地から陶磁器産地へという天草に住む人達の悲願を受けて始まったもので、年々規模が拡大し、今では秋の天草における一大イベントと言われるほど大きな催しとなっています。
昨年、天草の陶磁器振興という本来の目的に立ち返り「天草陶磁器の島づくり協議会」という組織を立ち上げ「天草大陶磁器展」もこの協議会の関連行事という位置付けとなりました。陶磁器の島を作るという本願がより明確になったと考えているところです。結果として昨年度より今年度にかけ、天草陶磁器の将来へ向けた様々な事業展開ができたと思います。
昨年から今年に関しての活動を挙げれば、天草大陶磁器展の開催はもとより、天草市内窯元の県外イベントへの出展サポート。福岡を始め様々な地域への出展に関し援助を行いました。天草陶磁器が香港の日本料理店『櫓杏』において合同企画展を行ったことは、特筆すべき事です。造形を志す若い学生を天草に招いての窯元研修。陶芸の先駆者に来島していただいての制作研修など、天草陶芸の将来にとって重要な取り組みも精力的に行いました。
天草大陶磁器展に関連した企画も積極的に行っています。天草大陶磁器展宣伝隊の熊本派遣や、器と天草の食とのコラボレーション企画である「天草・宝の器」など、多くの人たちが楽しみにしている事業も精力的に進めています。その他、観光資源としての取り組みである窯元マップの作成や、ドライブマップと連動したインターネットでのホームページや広報も、産地形成のために重要な活動です。
16才といえば元服を過ぎた頃…現代では立志の年頃となります。人間の16歳は将来についての目標が定まる時期かもしれません。今年の5月に平成から令和へ時代が移りました。新しい時代を迎え、天草や陶磁器のこれからを、改めて考える時だと考えます。天草はどこへ向かっているのか、陶磁器はどこへ進むべきなのか。キーワードは…過去を知り、今を感じ、未来を思うことではないでしょうか。
以前、天草大陶磁器展で基調講演をしていただいた筑紫哲也氏に「スローライフとスローフード」と題した話をしていただきました。当時はファーストライフとファーストフードへの批判が始まった時期。筑紫氏は時間や手間をかけず、簡単に最大の結果を得る人生や、高カロリーなものを頬張りながらカロリーベースで換算すれば事足りると考える食生活に大きな危機感を持っていて、スローライフやスローフードをテーマとした、本当に大切なことは何かを強く示唆された講演でした。
筑紫氏は陶芸家、河井寛次郎の言葉「手考足思…手で考え足で思う」「眼聴耳視…眼で聴き耳で視る」を示し、自分は常にこの言葉を糧として生きてきたと語りかけました。手を使い考え、歩きながら思う…ことでしょうか。目を凝らして景色を聴き、耳を欹てて視る。禅問答のように感じる人もいると思いますが、河井寛次郎の言葉は、作り手の私には受け入れやすい言葉です。
今年は新しい御代が始まり、新たな転換が始まっているように思えます。手軽で即席ではなく、ゆっくりと確実に、手間暇かけた焼物の島を作り上げようと思い始めています。それが天草に一番マッチしているように思えてなりません。

天草陶磁器の島づくり協議会 会長 金澤一弘

 

主催

天草陶磁器の島づくり協議会

日時・会場

期日:2019年11月1日(金)~11月5日(火) 【5日間】

時間:午前9時30分 ~ 午後5時00分
(3日は午後8時まで時間延長)
(5日は午後4時まで)

会場:天草市民センター(特設会場、展示ホール、大会議室ほか)熊本県天草市東町3

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