開催概要

天草の宝物

西暦2000年天草で開催された県民文化祭「ミレニアム天草」は産業文化という視点をテーマとして開催されました。産業文化とは一言で言えば「地域において職業として成立する文化」ということです。これは天草陶磁器が職業的文化資源として、地域振興の柱として捉えられたことを意味します。同時開催された国際陶芸シンポジウムにおいて「陶石の島から陶磁器の島へ」という、陶磁器振興に関する住民決議が採択されました。
この決議を受け、翌年より文化課(当時は本渡市)の元で「陶芸のまちづくり事業」が3年間の期限を定めて始まりました。内外の著名な陶芸家を招聘したり、アーティストによるワークショップの開催、技術交流などを積極的に行ったのがこの時期です。その後商工観光課(当時は本渡市)が引き継ぎ、天草大陶磁器展を中心とした事業を行なってきました。大陶磁器展は年々規模が拡大し、天草における秋の一大イベントへと成長しています。
本年、15回目の大陶磁器展を開催するにあたり、「天草大陶磁器展実行委員会」を「天草陶磁器の島づくり協議会」へと組織変更しました。大陶磁器展は陶磁器産業の認知向上や、地域活性化には直結しますが、「陶石の島から陶磁器の島」を目指すのであれば、更に広範囲の事業展開が必要になってきます。後継者育成、販路拡大、ブランド化の推進、才能の発掘、地元における販路の拡充など。産地化へ向けてするべきことは限りなく存在します。勿論、陶磁器の産地化は一朝一夕に出来ることではありませんが、目標を明確に持ち、継続して努力を重ねていけば、「陶石の島から陶磁器の島へ」という悲願は、必ず達成できると考えています。
県民文化祭開催時に天草の陶磁器 過去・現在・未来という1冊の本を作りました。その序文に「天草には他の地域と比べても誇りに出来るような宝物がたくさん埋もれている。天草学林を中心とした南蛮文化、切支丹、この場所はどこよりも早く西洋文化が花開いた所でもあるのだ。天草灘に沈む夕日、青い海、降り注ぐ夜の星、亜熱帯の植生、福連木の子守唄、皆掛け替えのない宝物だ。ハイヤのリズム、各地に伝わる民話、日本で初めて金属活版印刷されたイソップの物語…と書きました。
司馬遼太郎は、街道をゆく『島原・天草の諸道』において天草陶石について「天草灘に面した下島の西端十数キロにわたって産し、ほとんど無尽蔵だという。…中略…陶石街道とさえ言えそうである」と記し「この耕地が極端に少ない島のひとびとに対し、天が憐れんでただ一つだけの産物を与えたのが陶石だと思えるほどに、その道では結構なものらしい」と結んでいます。陶磁器産地化とは司馬遼太郎のいう結構なものを、もう一段結構なものにすることだと思っています。
6月の終わりに﨑津集落が世界文化遺産に登録されました。天草にひっそりと息づいていた歴史が世界に認められ、掛け替えのない遺産だと評価を受けました。地域固有でアナログな資源は、地域にひっそりと埋もれていることが多いようです。天草陶石も﨑津の人々の暮らしも、天草の宝物に違いありません。今までを大切にしながら、掘り起こし、磨き上げ、変わることなく永続可能なものを、作り上げなければならないと思います。2018年。天草大陶磁器展のテーマは天草の宝物。見たり聞いたり触ったりしながら、天草の時間をゆったりと楽しんでいただければ幸いです。

天草陶磁器の島づくり協議会 会長 金澤一弘

主催

天草陶磁器の島づくり協議会

日時・会場

期日:平成30年11月1日(木) ~ 6日(火)【6日間】

時間:午前9時30分 ~ 午後5時00分(6日は午後4時まで)

会場:天草市民センター(特設会場、展示ホール、大会議室ほか)熊本県天草市東町3

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