開催概要
ABOUT
「天草陶磁器のこれからのこと」
天草陶磁器の島づくり協議会 会長 岡部祐一
21回目の天草大陶磁器展が全国から98の窯元を迎えて開幕します。天草市をはじめ多くの方のご協力・ご支援の下、今年も無事開催できる事を心より感謝申し上げます。開催に際し、今年も出展枠を大幅に超える数の出展申し込みがありました。全国の窯元の間で天草の認知度が高まってきているのかもしれません。今回初出展の窯元もあり少しずつ新陳代謝も起こってます。皆様にもその新しい空気を感じていただければ幸いです。
今年は関連イベントとして俳句の夏井いつき先生による「句会ライブ」を開催します。“芸術”と呼ばれるものの中には、わたしたち陶芸が属する美術(造形芸術)の他に文芸(言語芸術)も含まれます。陶芸は土、俳句は言葉を素材とした表現活動と言えるでしょう。テレビでお馴染みの夏井先生による、言葉という身近な素材を用いた表現の世界を多くの人に楽しんでもらおうという思いから企画しました。SNS等により個人の考えや思いを目にしたり自ら発信する機会が多くなった現在、簡潔かつ的確にそれを伝えるセンスを磨くという意味において俳句は案外面白いのではないか、という感じもします。五七五の十七音によって紡がれる日本語の中にある奥義に触れ、その凝縮された世界を堪能していただきたいです。
夏井先生は四国愛媛県のご出身ですが、実は愛媛でも古くから陶石が採れ、それを用いて作られた「砥部焼」という有名な磁器の産地でもあります。天草と砥部の陶石は地脈を通じて繋がっているのではないか?という説もあり、砥部焼が誕生から250年を迎える今年、陶石つながりでなにか一緒にできないか、というご相談を松山でまちづくりに携わっている方からお受けしました。俳句と砥部焼、それぞれ別のルートで企画していたものが、その方と夏井先生が顔見知りであるというご縁も手伝い天草でひとつに繋がった事にとても感動しました。東京藝大の日比野克彦学長や陶芸の三上亮教授を交え、天草と砥部を繋ぐワークショップを企画しておりますので、どうぞお楽しみに。
昨年、この天草大陶磁器展は開催20回目を数えました。節目の回だったという事もあり、会期中に「陶石の島から陶磁器の島へ 〜To the future 天草陶磁器のこれからのこと〜」と題し、市長をはじめ大陶磁器展にゆかりのある方々を交えてパネルディスカッションを行いました。これからの20年、さらにその先へとどう歩みを進めていくか?というテーマの中で、今の盛り上がりが一世代で途絶えてしまっては一過性のブームで終わってしまう、文化や産業として根付いていくためには次世代の担い手の育成が喫緊の課題である、というような話をしました。あれから一年、新しい芽が出てくる兆しも感じております。天草でやきものに携わる事に意義を感じ、この地でやきものの作り手を目指す若い力が生まれてくるよう取り組んでいかねばなりません。人の手による造形というフィジカル的・アナログ的要素は、AIが取って代わる事の出来ない大きな魅力。加えて天草には天草陶石という世界最高の原料があります。ほら、あなたも天草でやきものづくりを目指したくなりました、よね?
天草市と提携を結んだ瀬戸市の「せともの祭」をはじめ、他の産地の陶磁器イベントを見て思うのは、やきものが地域にしっかりと根付いているという事。地域をあげて長年に亘って磨き上げ積み重ねられてきたものを感じ取れます。いまはまだ会場のみでの賑わいといった感じですが、それをどうやってエリア展開、そして天草全体へと展開させていけるか…そういった事も思い描きつつ、まだまだ成長過程の天草大陶磁器展ではありますが、今年も5日間どうぞお楽しみ下さい。
- 1.趣 旨
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天草地域は古くから全国でも有数の陶石の産出地として知られ、陶磁器関係者の間では知名度が高く、陶石といえば天草陶石を指すほどの陶磁器原料である。
平成12年度に開催された第13回県民文化祭「ミレニアム天草」における国際陶芸シンポジウムにて「陶石の島から陶磁器の島へ」と題した決議文が採択されて以来、平成13年度からの3年間「陶芸のまちづくり事業」を実施し、平成15年に国の伝統工芸品の指定を受けた「天草陶磁器」の知名度の向上、天草ブランドとしての確立、陶磁器産業の振興、地元陶芸家の人材育成のため、平成16年度から「天草大陶磁器展」を開催している。
今年も“陶磁器の島「天草」”を、熊本県内はもとより全国へ発信するため、著名陶芸家や若手作家を招聘、各種関連イベント開催、そして来場者にとっても知的満足度の高い内容で開催することで、原材料・生産量・品質ともに日本一の“陶磁器の島「天草」”の確立を目指す。 - 2.主 催
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天草陶磁器の島づくり協議会・天草市
- 3.会 期
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2025年
令和7年10月31日(金)〜 11月4日(火)
9:30〜17:00(最終日は16:00まで) - 4.会 場
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天草市民センター 体育館ほか
- 5.内 容
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天草島内を中心に熊本県内の伝統的窯元から若手陶芸家による展示即売と熊本県外の陶芸家の作品を依託展示販売する。