開催概要

開催概要

所信表明

天草陶磁器の島づくり協議会 会長 岡部祐一

 今年の天草大陶磁器展開催にあたり、当初より天草大陶磁器展実行委員長、のちに天草陶磁器の島づくり協議会会長として天草の陶磁器界を牽引してこられ、本年5月惜しくもご逝去された金澤一弘氏に謹んで哀悼の意を表します。

 氏の言葉で私が特に印象に残っているものとして、「わっかもん(若い者)が頑張らんばな !」と「天草をわっかもんにとってチャンスのある島にしたい」の2つがあります。
 常に天草のやきものの将来を気にかけ、時には厳しく私達を叱咤激励してくれました。2000年に「陶石の島から陶磁器の島へ」を合言葉に産地化へ向けての活動をスタートし、現在これだけ多くの方に天草のやきものが認知され、この天草大陶磁器展も秋の天草の一大イベントとして成長できたのは、天草市をはじめ周囲の方々のおかげなのは勿論ですが、金澤氏の先見の明により示した方向性が正しいものだったからだ、とあらためて確信しております。

 瀬戸、信楽、備前… いい原料が採れる場所はもれなくやきものの産地になっています。天草には天草陶石という世界に誇れる原料が眠っています。天草陶石が発見され陶磁器の原料として使われ始めてから約400年、1万年を超えるやきもの全体の歴史から比べれば比較的新しい素材とも言えるでしょう。せっかくいい原料が採れるのだからもっと地元で活用しなければもったいない ! 天草はこれからやきものの産地として育っていく大きな可能性を秘めた場所、という認識を持っています。これからの産地形成として、大量生産の時代は過ぎ徒弟制度も維持継続が難しい時代、多くのやきものの産地が規模を縮小していく中どういう産地を目指していくか、また次世代へどうつないでいくか ? 大きなチャレンジではありますが天草の窯元全体のテーマとして取り組んでいきたいです。

 やきものがご縁で天草市と提携都市を結んだ愛知県瀬戸市を先日視察しました。日本の六古窯として数えられるほど、その歴史や規模において国内有数のもので、人々の生活の中にやきものが深く根付いているな、という印象を受けました。江戸時代には瀬戸の陶工加藤民吉が天草で技法を取得し、瀬戸の磁祖として祀られるほど瀬戸焼の発展に貢献しました。
これから「令和の民吉」として人的交流・技術交流等を通じて、天草のやきものも発展していければと思っております。

 やきものは料理を盛ったり花を生けたり、ものを容れる器としての機能を有しています。
 またやきものの中でも職人的・実用的指向から芸術的・表現的指向まで広い振り幅があります。土の可塑性が示すように、これほど柔軟性に富んだ表現ができるジャンルも珍しいです。天草のやきものだけがピックアップされるのではなく、やきものを通じて食や花、アート等々…天草全体が盛り上がるために、「さまざまな天草を容れるもの」が我々の目指すところ。まずはこの5日間、天草大陶磁器展を存分にお楽しみ下さい。

1.趣 旨

天草地域は古くから全国でも有数の陶石の産出地として知られ、陶磁器関係者の間では知名度が高く、陶石といえば天草陶石を指すほどの陶磁器原料である。
平成12年度に開催された第13回県民文化祭「ミレニアム天草」における国際陶芸シンポジウムにて「陶石の島から陶磁器の島へ」と題した決議文が採択されて以来、平成13年度からの3年間「陶芸のまちづくり事業」を実施し、平成15年に国の伝統工芸品の指定を受けた「天草陶磁器」の知名度の向上、天草ブランドとしての確立、陶磁器産業の振興、地元陶芸家の人材育成のため、平成16年度から「天草大陶磁器展」を開催している。
今年も“陶磁器の島「天草」”を、熊本県内はもとより全国へ発信するため、著名陶芸家や若手作家を招聘、各種関連イベント開催、そして来場者にとっても知的満足度の高い内容で開催することで、原材料・生産量・品質ともに日本一の“陶磁器の島「天草」”の確立を目指す。

2.主 催

天草陶磁器の島づくり協議会・天草市

3.会 期

2023年
令和5年11月2日(木)〜 6日(月)
9:30〜17:00(最終日は16:00まで)

4.会 場

天草市民センター 体育館ほか

5.内 容

天草島内を中心に熊本県内の伝統的窯元から若手陶芸家による展示即売と熊本県外の陶芸家の作品を依託展示販売する。